Designer Dogをご存知ですか? 0267-63-1255 〒385-0044 長野県佐久市本新町216-15 営業時間:午前9:00~11:30,午後16:30~18:30 定休日:木曜、金・日・祝日午後
今回は少し真面目に獣医っぽいことをお話しさせていただこうと思います。
皆さんは、「デザイナードッグ」という言葉を聞いたことがありますか。
2種類の純血種を組み合わせて作出されたMIX犬のことです。
2000年以降、日本でもよく聞かれる言葉で、欧米やオーストラリアでは以前からよく聞く言葉です。
この言葉の由来を知っておくことは、動物と関わる上で大切なことだと個人的には思っています。
皆さんも是非、Google先生と一緒に考えてみてください。
コッカプー(コッカー・スパニエル×トイ・プードル)
さてさて、話は変わります。
表題とは違った内容です。
動物病院に来院される方が訴える疾患に、呼吸器に関することは比較的多いです。
今回は、この呼吸器に関するお話の中でも特に「短頭種気道症候群」もしくは「短頭種気道閉塞症候群」と言われる症候群についてお話しします。
一般的に短頭種とは、ブルドッグ、パグ、フレンチ・ブルドッグ、シー・ズー、チワワ、ポメラニアンのようなマズルが短くて目のクリっとした可愛らしい外観のワンちゃんたちのことを言います。ブルドッグなんかは代表的です。
実はこの子たちもDesigner Dogと言えます。
French bulldog puppy looking up on gray background
これらの犬種は、頭蓋骨の頭尾側方向の長さが短く、この狭小スペースの中に口腔から気管までの多くの構造物が詰め込まれています。このため、空気の通り道が狭くなり、自然な呼吸が阻害されてしまうのです。
ここから負の連鎖が始まります。
苦しいので頑張って息を吸う(吸気する)と、強い陰圧が生じて軟部組織が引っ張られます。
引っ張られた軟部組織は腫れたり伸びたりして、空気の通り道の障害物となってしまいます。
結果的に、吸気時に努力をしなければ、空気がなかなか吸えない状況となり、負のスパイラルへとはまり込んで行くのです。
「短頭種気道症候群」のために生命へのリスクを抱えたワンちゃんも多く、興奮しやすい性格の子ほどこの症状は顕著です。
このレベルになると、酸欠状態となっていて舌の色が青白い症例が多く認められます。
また、短頭種のワンちゃん達に多い「睡眠時のイビキ」も、上部気道の粘膜が震えて音が出ることから生じています。
・・・ということは「寝ているときも苦しい」のです。
「外鼻孔の狭窄」も呼吸状態を悪化させる要因の一つです。
もひとつ、、、
ワンちゃんたちは呼吸によって、体温を調節しています。
これは、呼吸がうまくできない=体温調節がうまくできないということを意味しています。
これから春を迎え、さらには夏が来ます。
上記の理由から、短頭種のワンちゃんは他の犬種に比べて「熱中症」のリスクが高いので、真夏日にこの子たちだけでお家の留守番をさせることのリスクの高さは言わずもながですよね。クーラー入れましょう!
短頭種気道症候群に対しては、外科的な介入により、呼吸状態が改善されて生活上のストレスや生命へのリスクが大きく軽減されます。
すでにガーガーといった音を立てて呼吸をしている、睡眠時のイビキがすごいなどといった様子が見られるのであればまずは一度受診されることをお勧めいたします。